続・台湾に「訪問学者」として渡航する研究者向け情報(2022年7月版)
前回の情報で間違いがあるので訂正したい。「行動報告アプリを入れて」と書いてしまったが、これは間違い。現在は隔離期間中に、地方の警察から電話がかかってきてルールの説明などをすることだけで済む。アプリによる管理はなされていない。
さて、前回書いた招聘状取得、フライト予約、ビザ申請、防疫ホテル予約などが終わると、一段落して「果報は寝て待て」という状態になり、次のステップに移る。以下、成田→桃園のケースを紹介しよう。
(1)PCR検査
一段落した段階で準備すべきことは、COVID-19のPCR検査予約である。現在安くて台湾渡航に使えるところとしては、たくさんあるが、木下グループを挙げることができる。
https://covid-kensa.com/
検査が2500円、パスポート番号などの情報を書き込んだ証明書は1000円である(この会社は、検査場で要求しないと領収書をくれないので要注意)。問題は、予約の時間帯である。台湾当局の要求は出発の48時間前までである。この計算をミスしないよう注意が必要。たとえば日曜日の午後3時出発予定なら、金曜日の午後3時過ぎに予約する必要がある。
検査結果は、スマホでスクリーンショットをとればよいが、プリントもしておくと安心かもしれない。
(2)「入境検疫系統」への入力
次に、絶対に忘れてはならないのが、台湾の衛生福利部の「入境検疫系統」への入力である。これが後に繰り返し確認される。出発の48時間以内に入力することとなっているが、そもそもPCR検査の陰性証明がでていないと入力できないようになっているので、感覚としては出発の前日夜に入力することになる。
気をつけるべきは、かならずスマホで入力しなければならないことである。PC版は、電話番号の入力画面にバグがあるのか、何を入力してもうまくいかない。しかも、最後になって、「この画面をスクリーンショットしてください」という説明がでてくる。何も考えず、スマホだけでやることが重要。
ポイントとしては、パスポート、航空チケット(座席ナンバーが必要)、陰性証明などをそろえてから始めること。面倒なのは、台湾の携帯番号がない場合。日本を研究拠点としていて、台湾に携帯があるという人も、多くはパンデミック中に番号が失効しているはずで、その場合はまず日本の携帯番号を入力する必要がある。
全て入力完了したとき、「SMSが送られてきます」という画面がでるが、「直後に」とは書いていない(ここが不親切。なかなか送られてこないので不安になる)。実際には日本の空港出発直前または台湾の空港到着直後にSMSが送られてくる。そこにあるリンクをクリックすると、「Quarantine System for Entry」という画面がでてくる。この画面にあるボタンを押していき、台湾の携帯番号を入力する((3)参照)。最後の画面にバーコードがあるので、そのスクショをとる必要がある。この当たりの作業は、台湾の空港職員(なんとなく臨時職員の印象がある。成田そっくり)がサポートしてくれるので心配いらない。
(3)台湾のSIMカード購入
上記のように台湾の携帯番号がなくても桃園空港に到着することができるが、その場合は入境直前の段階でSIMカードを強制的に買わされる。それは、隔離期間中に絶対必要なアイテムだからである。この際、訪問期間に合わせて、使い放題のSIMカードを買ってしまった方がよいと思う。最初の用途は、(2)にあるように、「Quarantine System for Entry」に入力することである。
(4)空港でのPCR検査
「入境居家検疫申報憑証」のスクショを次の窓口で見せると、「この先、荷物を受け取って、PCR検査を受けてください」と言われる。この時、PCR検査用の容器と、自主健康管理用の抗原検査キット×2セットを渡される。そして、見慣れた入境管理窓口でいつもの入境手続きをして、荷物の受け取りをする。
ところが、荷物がなかなかこない。この辺りから「台湾式防疫」の「洗礼」が始まる。30分以上待ったところで、ようやく自分の荷物を手にすることになるが、それがビショビショに濡れていることに気づく。つまり消毒液が散布されているのである。「なるほど」と思いながら税関を通って外の広いロビーにでる。どこでPCR検査をするのかと思えば、屋外である。確かに屋外の方が感染リスクが減るのでよいが、成田との違いに驚く人もいるかもしれない。季節にもよるが、暑いので涼しい格好にあらかじめ着替えておくのがよいだろう。
(5)防疫タクシー
PCR検査が終わると、(友人や家族の迎えがない場合)防疫タクシーにのって防疫ホテルに向かう。予約は不要であり、並んでいればよい。ただ、自分の名前と宿泊先の情報が防疫タクシーの運転手には共有されるので、ここで逃げも隠れもできないということがわかる。タクシー待ちで並んでいる間、荷物ではなく、「全身」に消毒液を吹き付けられる。2回目の「洗礼」であり、思わず笑っている自分に気づくだろう。要するに、丸洗い可の経済的な涼しい衣服、カバン、靴で訪台する方がよいということである。
(6)防疫ホテル
到着すると、また荷物と全身に消毒液を吹きかけられる。3回目の「洗礼」であり、思わず「台湾~やりすぎ~」と心の中で叫んでいる自分に気づくだろう。ここでも笑ってやり過ごすのが重要なポイントである。全て録画されている。隔離中のトラブルは身を滅ぼす元であり、気をつけよう。ホテルでチェックインの際、いつもと違うのは、LINEの登録をすることである。したがってLINEをやっていない人はとても面倒なことになるので、せめて出発前に始めておこう。チェックイン後の隔離部屋でフロントとするやりとりはほとんどLINEである。LINEが9割以上普及した台湾ならではの光景である。
(7)「自主健康管理」への移行
台湾での隔離生活については多くの経験談がネット上にあふれているのでここでは割愛する(警察から電話もくるし、毎朝体温を測って写真を撮ってLINEでホテルに送ったりする。部屋から一歩も外には出られない)。ここでは、3日間の隔離生活が終わった後、どのようにして「自主健康管理」に移行し、外に出ることができるか、という点を紹介する。
「自主健康管理」は4日目から4日間であり、外出する場合その48時間前に抗原検査で陰性証明をとる必要がある。空港で受け取った抗原検査キットを使って、結果をLINEでホテルのフロントに送り、何時に外出するかを伝える(チェックインする人と鉢合わせしないためらしい)。ホテルに戻るのはその日の夜12時以前まで、とされている(外泊はダメ、ということ)。これを2回やれば、4日間外出することができる。ただ、こう書いてもわかりにくい。
簡単に言い換えると、外出する予定の朝に抗原検査をして、その結果(一本線は陰性、二本線は陽性)のスクショと出発予定時刻をフロントにLINEでおくる。自主健康管理1日目と3日目の朝にこれをして、陰性なら、全期間中外出ができる。
「自主健康管理」期間中の外出では、他人との会食および人混みに入ることを避けることが求められる。多くの台湾人はこの期間から出勤している。したがって、「仕事に行く」と言って出て行くのが最も普通の行動となる。
以上、だいたいこのコラムに書いてあることと同じであるが、このブログには多少の補足情報も入っているため、ある程度有用な情報だと思う。
https://www.his-j.com/corp/contents/column/taiwan-travel/
なお、以上の情報は2022年7月11日現在のものである。このブログでの情報はあくまで個人的な善意に基づくシェアにすぎず、私は責任を負うことができない。なお、渡航関連情報は、ツイッターやYouTubeなどでも確認できる。台北経済文化代表処のホームページの一次情報を確認すると同時に、最新の経験談をネット上で確認するとよいだろう。こうした苦労をせずとも台湾渡航ができる日が早く訪れることを期待したい。なお、日本に帰国する際の必要情報は、ネット上に大量に存在しているので、ここでは割愛する。
台湾で客員研究をしたいと考えている方のお役に立つことができたら幸いである。